自分が持っていないものを持っている人間(具体的にはセックスしたい女性とセックスが出来る、好きな女の子と付き合うことができる)に、
俺は昔と同じように今も心の中では劣悪な感情を抱いてしまっている。完全に振り払うことが出来た日は、おそらく俺もそれを手にした日なんだろうな。
飢えた孤児にそういう目を向けられて「お前はよくそんなのうのうとしていられるな」という感情を向けられたらおそらく俺は泣いてしまうだろうけど、
それと同じことを、自分と違う世界線を歩いている人間に向けてしまっているんだ、と思うと、本当にくそくだらない奴だな、自分は、と思ってしまう。
電車でもし毎日同じ奴が座席に座りながら通勤が出来ている、という事実が仮にあって、それに気付いてしまったら、俺は毎朝つり革に捕まりながらそいつを軽蔑すると思う。
その人は、職場までとても遠くて、毎朝5時に起きて始発駅から向かっているからなのかもしれないのに。
そういう陰で恵まれない境遇があるという事を考えずに、「恵まれている事実」だけに目をつけてしまう。
こういうのを人間のクズという行動なのかもしれない。
結婚を「人生の墓場」という風に最近尊敬する人が言ったけれど、
仮に墓場なら、俺は本当に好きな人と墓場に向かいたいと思っている。
