poai’s blog

オナ禁の効力検証ブログ。日頃行っている表現活動(音楽関係)の呟きも載せます。

ものすごく寒くて布団をたくさんかけて寝た。
こんな夢を見た。

俺は女に飢えていた。
どこの町でか分からないけれど、通りすがりの女の子に声をかけた。もちろん拒絶された。
それを見ていたその子の兄と思われる男が近づいてきて「話しようか」と離れた場所に連れてかれた。

夜になるまで話続けた俺たち。
「お前は何をしようとしてるんだ?ここで」
彼は俺に訪ねる。
「この東京の町で自分がどこまで通用するのか。東京のライブハウスに、自分たちを見るためにどれだけの人が集まるのか、見てみてたいんです。」
俺がそう言うと、彼は何も答えず、夜の町の灯りを見ていた。
「今日は帰って寝な」
彼は立ち上がって歩いていった。

「あなたですか?○○に急に声をかけた人って?」
ある日、同じ町で、知らない女の子から突然、歩いている時に話しかけられた。
なんて答えたら良いかわからない。
「そうです」と言ったら、警察に連れていかれるかもしれない。
間違いなく、あの子のことだ。
俺が窮していると、その子は信じられないことを続けて言った。
「あの子の家、この近くにあるんですよ。一緒に行きませんか?」

え?
たぶんそう言ったと思う。
もしくは、何か「わかった」「わかりました」とか、その子の言葉に同意する単語を発したのかもしれない。

俺は、その女の子と一緒に、どこかの家の、どこかの部屋のドアの前に気付いたら立っていた。

「あの子、すっぴんの方が可愛いかもね」
一緒についてきた女の子は、隣でそう言った。
何か、質問をしなければ。そう思っても、言葉が出てこない。
あまりにも事態が急変しすぎていて、頭と心がついていけない。
「じゃあ、開けるから」
その女の子はドアを開けた。

中には、また知らない女の子がいた。
前髪を全て上げておさげを結い、眼鏡をかけた女の子。
戸惑って何か声を発した。単語や意味のある言葉になっていないような声。その声には、聞き覚えがあった。
少しして、隣の女の子は、
「話をするときは、この部屋の敷居を跨がないようにね」
と言った。
「じゃあ、あとはがんばってね」
そう言うと、隣の女の子は俺から離れて、階段を降りていった。
俺がその子の去っていく後ろ姿に慌てて何か声をかけようとしたら、
「おい」
とまた聞き覚えのある声。それは男の声だった。
その声のするほうを振り替えると、
部屋の中にいる女の子の奥の方からだった。

よく見ると、その女の子のいる部屋の後ろにはもう1つドアがあって、そのドアが開かれた先には、もう1つ居間のような部屋があった。
家族が食卓を囲み、テレビを見て談笑するような部屋だ。
そこはこたつがあって、二人の男が寝そべっている。一人は初老に近い男で、目を閉じていることから、こたつで気持ち良さそうにうたた寝をしているようだ。
もう一人の男は、寝そべって俺に背は向けているけれど、背中に目が付いているかのように俺の存在を捉えているようだった
「お前、東京のライブハウスにどれだけ人を集められるのか、試したいとかこの前言ってたよな?」
背中の男は間違いなく、あの日、俺が町でナンパした女の子の兄だった。
缶コーヒーがどんどん冷めて手の熱を奪っていき、町の灯りが点り始めたあの夕方の景色を思い出す。
「なめんじゃねえぞ。たくさんとか大勢とか、数で人を数えるんじゃねえ」
あの時黙っていたのは、この言葉を言うべきかどうか考えていたんだろうか。

気付いたら目の前の女の子が前髪を下ろし、おさげを下ろし、眼鏡を取っていた。
その顔は見覚えがあった。
間違いなくあの日、俺がナンパしたあの女の子だった。
その表情は緊張しつつも、何かを期待しているかのような、受け止めようとしているかのような表情だった。
その子は、俺が越えてはいけない、と言われた部屋と廊下を区切る敷居を越えてきて、俺の隣にひょこんと立った。
「見たいDVDがあるから、ついてきて」
俺にそう言うと、玄関へ向けて歩きだした。
なぜか分からないけれど、格好は制服だった。

外は、冬の気温だった。でも、不思議とあまり寒くなかった。(夢だから?)
その子は、何も言わず、どんどん夜の道を奥へ、奥へと進んでいく。
なんだろう。何が君はしたいんだ。
どこに行こうとしてるんだ?
俺はそう心の中で思いながら、自分よりずいぶん年下の女の子の後を追う。
そして、たどり着いたのは、聞いたことがない名前のレンタルDVD屋だった。
その子はお店に入る前に、俺のほうを見た(気がする)。
お店の中に入ると、いかにもチャチくてきらびやかな、深夜のレンタルビデオ屋という感じの店内だった。
その子の目指す棚は、アニメのコーナー(だと、たぶん思う。TSUTAYAみたいに、綺麗にジャンルやカテゴリーで分けられているような店ではたぶん無い)。
その子は俺に「マリオのアニメ、見たことある?」
と言った。
マリオ?スーパーマリオ
「子供の頃にやってて、こういうとこにあるか分からないけれど、見たいの。スーパーマリオのアニメ」
俺の子供の頃に、やっていたような気がする。
その子の小さい頃にやっているとはとても思えないが、有料チャンネルみたいなもので見たのだろうか。
その子は、マリオのアニメを探して、雑多でガチャガチャしたDVDがごまんと押し込められた棚を見つめている。その子の顔を近くで見たのは、初めてだった。

なぜ、いま自分がこんな状況に陥ったのか、分からない。
陥れられようとしているのか、騙されているのか、分からない。
でも、その時、俺は、心の底からその子の横顔を見て、涙を流しながらこう思った。
「この子とセックスできなくても良い。付き合えなくても良い。この子は、幸せになってほしい」
乾いた心が本当に何十年かぶりに癒されて満たされた。
そんな感触を柔らかく心に受け止めた瞬間、目が覚めた。
俺は泣いてはいなかった。